海をみにいく

f:id:HerzTraenen:20180816142549j:plain海に行った。小さい頃によく言った、遊泳禁止の岩場だ。今は水位が上がってしまってあの頃のようには中洲のような場所に居れない。
ゴーグルなども忘れてしまって、潜ることも出来なかったけれど、それでも水の底の魚を触ったり、ひなた水を脚に受けたり、ぼうっと水に自分を沈めたりした。
磯のなかはおもしろいものでいっぱいだ。貝がら、いそぎんちゃく、張り付いてる魚、浮かぶ海藻。そのどれもがひとつひとつ違って、いちいち胸をいっぱいにして、波が引くように去っていく。
そんな中で石ころを偶然手に取った。水の中で、ひたすら波の中にとどまりながら。2つの石ころで、ひとつは大きく、ひとつは小さい。
なにか親密なものを感じてわかった。これは私の大人の魂と、わたしが未だに持っている赤ん坊の魂だと。そう思ったらしばらく動けなかった。海のとほうもないやさしさとあたたかさ。
許されるということは、自分を許すことを許すということ。
全てを海に濡らされることの心地よさ。
しばらく考えて、私は私のふたつの魂を、もとの水底に戻した。
このあたたかい海に許されたままであるように。